hinnaのふわリブシリーズに使われている「オーガニックコットン」。
実はただのオーガニックコットンではないことをご存じでしょうか?

使用されているオーガニックコットンはパノコトレーディングさんが携わっている「bioRe PROJECT(ビオリプロジェクト)」で生産されている特別なオーガニックコットンなんです。

何故hinnaにはこのオーガニックコットンを使っているのか?
今日はこのbioRe PROJECT(以下ビオリ)のオーガニックコットンの背景や特徴を、現地に赴かれた、パノコトレーディングの三保さんに取材してきました。

生産地であるタンザニアの現地ならではの貴重な話も聞けましたので、是非最後までご覧ください!

 
 

What‘s? bioRe PROJECTって?

bioRe(ビオリ)プロジェクトはスイスのREMEI社が中心となり、
1991年からインド、1994年からタンザニアで始められました。

このプロジェクトの特徴は、単にオーガニックコットンを買い取るだけではなく、
この地域で暮らす人々が自立していくための様々な仕組みを構築している点です。

インドとタンザニアに約5,000軒の契約農家を抱え、
世界で最も大規模かつ、先進的なプロジェクトとして知られています。


(株式会社パノコトレーディングHP引用)

サンテラボ(以下「サ」)私たちサンテラボのブランドであるhinnaのふわリブシリーズは、ビオリプロジェクトで生産されたオーガニックコットンを原料とした生地ですが、ビオリのオーガニックコットンを生産する背景で、他のオーガニックコットンとの違いってなんですか?

パノコトレーディング 三保さん(以下「三保」)bioRe PROJECTの一番の特徴は、オーガニックコットンを生産流通させるビジネスと、それを栽培する農家の方々が抱える社会問題を解決していくソーシャルプロジェクトとが両輪となっている点です。

インドの農家が置かれている悲惨な現状を知った創業者のPatric Hohmann氏が、何かを変えなければならないという決意を抱いたことからこのプロジェクトがスタートしました。私達パノコトレーディングもその想いに共感し、2001年からこのプロジェクトに参画しています。

なるほど、ビジネスだけでなく、社会的問題も解決していくという2つの目的が重なって動いているのがビオリプロジェクトなんですね。そのソーシャルプロジェクトっていうのは具体的にどのようなものなのでしょうか?

三保ソーシャルプロジェクトは、bioRe Foundationという団体によって運営さてれいます。井戸や学校の建設、医療バスの提供など現地のニーズを汲み取った様々な支援を行っていますが、その中の一つに、高効率かまどの設置というものがあります。
農家の方の家の中にかまどを作って、壁に穴をあけて煙突をつけるという、私達から見るとなんてことないかまどなんですが、そもそもこういう技術や文化がないんです。


△ 高効率かまどでとうもろこしを茹でる様子

家の中で何か料理をする際、けむりで充満してるのが当たり前で。それは身体にも悪いですし、燃焼効率も悪く、薪を多くくべなければならならず、周辺の木々が減少しているという問題もありました。
実際訪問した家の方に煮炊きの様子を見せてもらいましたが、とても助かっているとおっしゃっていましたね。

あとはやはり乾季は雨が降らないので水不足が最も深刻です。今回訪問した際にも、干上がった川底を掘って生活用水を得ている方々を多く見かけました。
そういった課題を解決するために、井戸を建設したり、雨季に水を貯めておくための巨大なウォータータンクを設置したりしています。中には浄水施設を備えているタンクもあり、周辺住民は誰でも蛇口から新鮮な飲み水が得ることができます。

ちなみに、この施設の隣には助産院がありました。新鮮な水で赤ちゃんを迎えるために、あえて助産院の横にこの施設を作ったと現地スタッフが教えてくれました。

:綺麗な水で生まれたばかりの赤ちゃんを洗ってあげられるんですね。

三保その他にも私達が支援した井戸を見に行くと、みんな待っててくれるんです、とっても陽気な人たちばかりで。

とにかくそこに暮らす農家の方々に「耳を傾ける」ということをbioReは大切にしています。ただお金を渡したり施設を作って終わりではなく、本当に必要なものを必要なところに作るんです。
井戸は近隣住民の方々に自らの手で掘ってもらうのですが、そうすることで愛着も沸くし、メンテナンスの仕方もわかるんです。そこまで先のことを考えてサポートを行っています。

:現地の人たちのリアルな声を拾って、そこに支援を注ぐ。一緒に問題解決をしていくんですね。
井戸が作られて…その水を使ってコットンを栽培しているってことでしょうか?

 

品質を守る、オーガニックコットン栽培の驚きの工夫

三保いえいえ、現地は雨季と乾季があり、コットンの生育期間っていうのは雨季…つまり十分な雨がふり、そしてコットンボールが開き、収穫できるのが全く雨の降らない乾季になります。


△ 乾季のコットン畑

そういう風に栽培しているんですね、知りませんでした。
…実は私コットンを育ててみたのですが、全然育たなくて(涙)。環境が大きくかかわっているんですね。

三保そうですね、種の種類や生育環境によっても育ち方は全然違います。その土地の気候や土壌にあってないとその種は育ちません。なので、同じコットンでも品種によって葉やコットンボールの姿かたち、種の数、収穫量や繊維の質も様々なんですよ。
それと、農薬を使わないオーガニックコットンの栽培ではヒマワリの種が副産物として採れるんですよ。
コットンの畑の中に一定間隔でひまわりを植えるんですが、これはコットンに虫を寄せ付けないためなんです。

コットンに虫が寄ってこないんですか!?

三保はい。そもそもコットンは虫が寄ってきやすい植物なので害虫対策がとても重要なのですが、その一つの方法としてひまわりを植えるんです。そうするとひまわりに虫が寄って行って、コットンへの被害を抑えられるんですよ。
その他にも甘い蜜の入ったペットボトルを設置するなどといった誘引トラップを仕掛けます。
さらに、そのひまわりからとれる種は圧搾して「サンフラワーオイル」として販売するのですが、その圧搾施設もbioRe Foundationが提供しています。搾りカスも家畜のえさとなり、全く無駄がないんですよ。


△ 左側にひまわり、右側にコットンが栽培されている


△ ひまわりの種

いや~すごい。1つ1つが余すことない、価値のある取り組み…。そうやってコットンの品質を守りながら、無駄なく栽培をしているんですね。
そういえば、hinnaのふわリブで使われているオーガニックコットンなんですが、洗濯をすればするほぼふわふわになってくるんです。一般的なオーガニックコットンとの違いや、こだわりなどありますか?

 

風合いの良さに響く、熱いポリシー

三保いくつか要因はあると思いますが、有機栽培に適していながらも質の良い綿がとれるような種を選んでいる点がまず挙げられます。また、収穫は全て手摘みで、機械は使いません。

炎天下での収穫作業はとても大変ですが、品質のいい綿だけを人の手で選びながら収穫できるので、風合いにとても影響しているんですよ。

また、収穫したコットンの繊維と種を分離する「ジニング」という綿繰り工程があるのですが、世界的に主流となっている機械は「ソージン」といって刃で繊維を切断しながら行うんです。
ですが、bioReでは「ローラージーン」という古い機械を使っています。生産効率は非常に悪いのですが、種から繊維をむしり取りながら分けるので、繊維が傷みにくく、品質がいい綿が取れるんですよ。これも風合いの良さの一因になっていると思います。


△ ローラージーンを使い、コットンの繊維と種を分ける

三保生地を作る工程ですが、タンザニアで収穫したコットンを、今度はインドで紡績(糸にする)します。そして、その糸を国内の様々な工場に持ち込んで生地を作ります。

ニット地を編み立てる際には、糸のすべりを良くするためにワックスが必要になるのですが、一般的にはパラフィンワックス(石油系のワックス)を用います。私たちはその代わりに天然のミツロウを使用しています。最終的にワックスは洗い流してしまうので生地には影響がないのですが、なるべくケミカルなものは使わないようにしています。

また、洗いの段階で使う洗剤はドイツの「ソネット」を使用します。それも風合いに影響していますね。

サンテラボでも扱っています!ドイツ製のオーガニック洗剤ですね。なんだかとっても安心です。

三保ソネット、高いんですよね(笑) 家庭用洗剤なので泡立ちが良く、工場にとっては大変かもしれないのですが、我々は「これを使ってほしい!これ以外の洗剤は使わないでほしい」と伝えています(笑)

それと、キナリに関しては、漂白をしない点も「風合い」「柔らかさ」の要因になっています。
これも工場にとってもなかなか面倒くさいことなんですよね。
工場でどうしてもついてしまう汚れは、普通は漂白すれば落ちるのですが、私達の生地はすっぴんなので日ごろから機械のお手入れが必要になってくるんです。


※素材展の様子

種から生地になるまで、そこに携わる人がみんな気を使ってくれています。すべての工程で自分の仕事をおろそかにせず、責任をもって役割を果たしてくれていることで、それが結果的に風合いに反映されているんだと思います。

すごい…モノづくりの熱いポリシーを感じました…。オーガニックコットンってだけで良いもの・価値あるものだと感じていましたが、このお話を聞いてビオリコットンの価値を更に感じました。
そんなビオリから生まれたオーガニックコットンを大切に使っていくことが私たちにできることだとは思いますが、…他にもわたしたちが取り組むべきことはありますか?

 

繋ぎ続ける、受け継がれるバトン

三保このビオリプロジェクトを創設したREMEI社がコンセプトとしているのが「All Holder Value(オールホルダーバリュー」。オーガニックコットンに関わる人全てが価値創造の一員になることが大切なんです。
そのなかでも彼らが常々言っているのが「long-term relationship(ロングターンリレーションシップ)」=互いを信頼し、長くお付き合いをするということです。これが一番重要だと言っています。
私達を含め、サンテラボとそのお客様と農家の方々が最終的につながっている。その関係が長く続くことが理想的で、彼らもそう望んでいると思います。…難しいことなんですがね。

モノづくりをしていて人の手でずっとつながってきているっていうのは、とても感じます。
モノづくりに携わる方がみんな一つずつ気を使って、ポリシーをもっていいモノづくりをしている…そのバトンを私たちは受け取って、お客様へより良い商品として繋げていけるようにこれからも頑張りたいなと思います!

今日はとってもいい話を聞くことができました。本当にありがとございました!

 

ビオリプロジェクトを通して繋がる農家や生産工場、パノコトレーディング、サンテラボそして製品を手に取ってくださったお客様。全てがオーガニックコットンで繋がって、お互いを幸せに、笑顔に、明るい未来にしています。

それはhinnaのポリシーでもあり、サンテラボを取り巻く輪だと考えます。

良い製品を作るだけでなく、それに携わるすべてのもの・こと・環境が明るいものになるように、
そしてそれを長く続けられるように、私たちはそんなものづくりを来年も皆様に提案していくことをお約束します。

 

【サンテラボ編集部】スタッフ ほうら